

DX推進PROJECT
ITでビジネスの形を変え、
地域とのつながりを強めていく。
所属は取材当時の情報です。
人口減少など社会構造の変化に対応すべく、さまざまな変革に取り組んでいる三十三銀行。その中でも本丸に位置付けられているのが、DX(※)です。このページではDX推進プロジェクトに抜擢された20代行員の体験を通じて、三十三銀行が目指す姿について紹介します。
※DX:「デジタルトランスフォーメーション」の略で、さまざまな企業活動をデジタル化することで業務の効率化や新サービスの創出を図り、競争力を向上させる取り組み全般を指す
三十三銀行
DX戦略部 DX改革課野田 明花
Interview 01 IT初心者がDX推進プロジェクトに抜擢された理由

「金融業界」は、FintechをはじめDXが進んでいる分野の一つといわれています。しかし諸外国に比べればまだまだ遅れており、その主な理由として捺印や対面での契約を重視してきた伝統などが挙げられています。野田の入行当時の三十三銀行の業務やサービスもそれらの慣習に則ったものでした。
「私の入行が2018年。その頃から旧第三銀行と旧三重銀行の経営統合が始まっていて、当行に限っていえば『なかなかDXにまで手が回らなかった』という事情もあったようです」(野田)
野田の入行から6年。三十三銀行は現在、第三次中期経営計画を推進中で、その中で最重要課題の一つがDXの推進です。しかし今回の主役である野田は、もともとITについては完全な素人。そんな彼女がなぜ、この重要プロジェクトに参加することになったのでしょうか。
「私は文学部の出身で、これまでITとは無縁の人生を送ってきました。ここにくる前は支店での窓口業務や後方支援業務を担当していたのですが、プロジェクト立ち上げに際して『事務の実務経験がある人に参加してほしい』ということで私に白羽の矢が立ったようです」(野田)
支店での業務を一通り習得していた当時の野田。「自身の仕事の幅を広げたい」と会社に希望を伝えていた矢先の出来事ではありましたが、想定外の抜擢に驚いたといいます。
Interview 02 事務に費やす時間を、顧客との関係を深める時間に

プロジェクト名は「事務量3年3割削減プロジェクト」。行員が事務に費やす時間をDX化により削減し、お客さまへのご提案やご相談を受ける時間にシフトさせることで、支店を「事務の場」から「コンサルティングの場」に変えることを目的としています。
「大学を出て支店で働き始めた時、何というかタイムスリップしたかのような感覚になったんです。印鑑の照合は目視でしたし、帳票類も基本的にはすべて紙でのやり取りです。定規で線を引いたり、糊で貼りつけたり、アナログな事務作業がとても多く、パソコンでの作業と比べるとやはり労力と時間がかかります。作業が立て込み来店してくださったお客さまをお待たせするケースも多々ありましたので、こうした業務のDX化には大きな可能性を感じました」(野田)
このプロジェクトは「ハイカウンター業務改革」「ローカウンター業務改革」「後方事務の集中強化」の3本柱を中心に、窓口セミセルフ端末や窓口タブレットの導入、ミドルオフィスの設置など複数の開発テーマを並行して進めています。
「DX戦略部はまだまだ新しい組織で、業務内容も流動的ではあるのですが、現在は10名ほどのスタッフがそれぞれの役割を担い開発にあたっています」(野田)
ほぼ知識ゼロの状態でこの業務に加わった野田でしたが、周囲の助けもあって徐々にITの知識や業務の流れを学んでいきました。そして配属から半年が経った頃、主担当として新しいシステムの開発を任されることになります。
Interview 03 お客さまも行員もうれしい「来店予約システム」

野田が主担当として開発を手がけた「来店予約システム」は、これまで直接店頭にお越しいただくほかなかったお客さまの事前予約を可能としました。開発は2024年の6月ごろから始まり、同年11月から稼働しています。
「店頭で働いていると、どうしてもお客さまの来店が集中してしまう時間帯があります。そんな時に時間がかかる手続きが重なると、お客さまに長い時間お待ちいただかなくてはなりません。さらにせっかく来店いただいたのに、手続きに必要な書類が不足していたために、再度お持ちいただくようなケースも時折発生します。この来店予約システムがあれば、お客さまの待ち時間の短縮につながるだけでなく、店頭にお持ちいただく書類などを事前にお伝えすることで、スムーズな手続きの実現にも役立ちます」(野田)
プロジェクトは開発を委託する外部ITベンダーの選定からスタートしました。「こういう仕様のシステムをつくりたい」という要件をまとめた要望書を渡し、複数社から見積りを取りながら、どこにお願いするのがベストなのかを上司とともに検討しました。
「ITベンダーの選定までは上司に入ってもらい、そこから先は私一人で開発を行いました。事務業務を統括する部署、営業活動を統括する部署との間に立ち、今回のシステムにどのような機能を持たせるのかの調整を図ったのですが、それぞれ異なる指標を持っている部署ですから、着地点を見つけるのに苦労しました」(野田)
Interview 04 数千人の仕事を変え、地域の未来に貢献していく

その後はITベンダーと直接やり取りしながら開発を進め、つい先日、新システムの運用がスタートしました。短期間ではありますが、すでに導入の効果が表れているようです。
「システム稼働開始時点ではお客さまへの本格的なPRはまだこれからという状況でしたので、1ヶ月に数十件程度の予約が入れば御の字という予測を立てていました。しかし実装から数日ですでに予想を上回る予約が入りました。やっぱりニーズがあったんだ!と、主担当の私としては嬉しい気持ちでいっぱいです。見やすさ・使いやすさにもこだわりましたので、そのあたりも結果につながっているといいですね」(野田)
最近は担当業務だけにとどまらず、先進的なDX事例のある金融機関を見学したり、東京での大規模な展示会に出かけたり、IT漬けの日々を送る野田。最後に、この仕事のやりがいについて聞きました。
「単に便利にするだけでなく、数千人にのぼる行員の仕事そのものを変えていく。そんなDXの影響力の大きさに改めて驚いています。工数を劇的に減らすシステムの導入を通じ、仲間たちの業務効率化に役立てることには当然やりがいを感じます。まだこの業務に携わって間もないですが、今の仕事を通じてITの知見もだいぶ深まりました。苦労は多いですが、自分の成長を感じられる点もこの仕事の魅力だと思います」(野田)
地方銀行の強みはなんといっても、地域経済との結びつきの強さ。これからも「地域のお客さまから愛され信頼される金融グループ」を目指した挑戦は続きます。